物が溢れる実家を断捨離することには、単なる片付けを超えた多くの利点があります。快適な居住空間の確保だけでなく、相続問題や将来的な空き家対策を考慮すると、断捨離から得られる経済的、心理的なメリットは計り知れません。
ここでは、物があふれる実家の断捨離によって得られる5つの主なメリットを深掘りしてご紹介します。
実家が将来的に空き家になる可能性がある場合、例えば相続の状況や両親が高齢者施設へ移ることにより、断捨離をしておくとその後の活用や売却がスムーズに行えます。
人が住んでいない家は、時間と共に急速に劣化していくため、定期的なメンテナンスや監視が必要です。このような状況で、空き家を効果的に管理するためには、家の中の物を整理し、必要なメンテナンスが容易に行える状態にしておくことが重要です。
さらに、空き家の状態でも固定資産税や都市計画税の支払いが続き、マンションの場合は管理費や修繕積立金がかかるため、経済的負担が増大します。これらの費用が継続することで、空き家を保有すること自体が経済的な負担となり得ます。
空き家を賃貸用途にしたり売りに出したりする際には、家の中の物を整理し空室の状態にすることが前提となります。これは、不動産取引において物件は基本的に空の状態で引き渡す必要があるからです。不動産買取を行う業者でも、物が残っている状態であれば買い取りは可能ですが、残置物の処分にかかる費用を考慮して買取価格が下がる可能性があることを理解しておく必要があります。
実家に溜まった物を事前に断捨離しておくことで、空き家になった時点で即座に賃貸や売却の選択肢を検討することが可能になります。
実家の断捨離を相続前に進めることは、多くの場合、相続後よりも容易です。相続が発生した後には、準確定申告、遺産の分割、相続税の納税など、多くの手続きが待っており、実家の整理に充てる時間を確保するのが難しい状況になりがちです。
親が亡くなった後に実家を整理することは、感情的にも大きな障壁があります。故人が日常的に使っていた品々や、思い出深い物は、まるでその人の魂が宿っているかのように感じられ、そのため手放す決断が非常に困難になります。
特に、故人の愛用品や、その人の人生を物語るような品々を処分する際には、まるで故人との結びつきを断ち切るような感覚に陥ることがあります。しかし、親がまだ生きている間に一緒に断捨離を行うことで、その過程が貴重な共同の時間となり、後に温かい記憶として心に残ることでしょう。
実家の断捨離を行うことで、将来の相続を見越した資産の把握が可能になります。実家の相続を考える上で重要なのは、どれほどの相続資産が存在するかを正確に知ることです。
法定の相続分に従う場合、配偶者は資産の半分、子どもも残りの半分を相続することになりますが、相続する資産の内容とその評価額を知らなければ、遺産の分割は進められません。また、相続税の計算も、相続資産の評価に基づくため、資産の事前確認が不可欠です。
資産というと現金を思い浮かべがちですが、それにとどまりません。不動産、有価証券、会員権、宝石や価値ある骨董品なども相続資産の範疇に入ります。
これらの資産に関する証明書や価値を評価するための情報が、意外と家の隅々に隠れていることも珍しくありません。遺言を作成する上でも、平和的かつ円滑に相続を進めるためには、資産の一覧表を作成することが求められます。
資産の一覧を作る際には、まずそれらの資産を正確に知ることが必要です。実家での断捨離作業は、不要なものを排除するだけではなく、価値あるものを発見し整理する作業でもあります。
物の多い家庭では災害時のリスクが増加します。地震が起きた際には、物が多いことで家具の転倒や物の飛散リスクが高くなり、怪我をする危険性が増します。洪水などの水害が発生した場合も、浸水被害を受ける物の量が多くなりがちです。さらに、日常生活においても、物が多い環境は転倒や怪我のリスクを高めます。
近年、大規模な災害が頻発している現状を鑑みると、物を整理して災害リスクを低減することは、多くの家庭にとって重要な取り組みと言えるでしょう。
災害対策として非常用品の準備とその管理は欠かせません。物が溢れ、収納に余裕がない家庭では、非常用品を適切に整理・保管するのが困難になります。
災害が起きた際に必要となる水、食料、懐中電灯、予備の電池などを迅速に取り出せるよう準備しておくことが重要です。断捨離を行うことで、必要な物資を整理し、適切な場所に配置しておくことが可能となり、緊急時にすぐにアクセスできる状態に保つことができます。
物が溢れた家では、住宅の老朽化が促進されがちです。これは、掃除が行き届かないことや通風が悪くなることにより、埃やカビが生じやすくなるためです。埃やカビ、そしてこれらが原因で増えるダニは健康を害する可能性があります。
断捨離を済ませておくことで、空き家になった場合にもその後の利用や売却をスムーズに進めることができますが、実際には相続後もしばらく空き家として残る状況は珍しくありません。
人が住んでいない家は、放置すると速やかに老朽化が進みます。管理が行き届かない空き家は、固定資産税の増額や罰金などのペナルティが科される可能性があります。そのため、空き家となっても定期的なメンテナンスが必須となります。
事前に断捨離を行っておけば、空き家の期間中の管理が容易になり、売却や再利用の際にも家の価値を保つことが容易になります。
実家を断捨離することは、空き家の効率的な活用や迅速な売却、相続手続きの簡略化、資産の整理、災害時の危険度低下、そして不動産価値の保持という多くの利点を提供します。このように、実家の断捨離は未来に対する一種の投資とも言えます。