空き家問題は年々深刻化しており、空き家所有者への風当たりも徐々に強まっています。福岡でも少なくない空き家が存在しています。空き家を所有しているだけでも費用や手間がかかるため、「売りたい」と考える方も多いでしょう。しかし、すぐに空き家を売却できるわけではありません。
そこで、本記事では空き家問題の現状と、空き家を売却するために必要な工程について解説します。
たとえ人が住んでいなくても、住宅を所有するには固定資産税や都市計画税、管理費や修繕積立金などの費用がかかります。さらに、2023年12月に「空き家対策特別措置法(空き家法)」が改正され、管理不全の空き家に対する罰則が強化されました。
空き家法に基づいて「特定空き家」に指定された空き家は、「指導」や過料を伴う「命令」の対象となります。
助言や指導に続く「勧告」の段階で、その空き家の建つ土地が「住宅用地の特例」から除外され、実質的に固定資産税が大幅に増税されることになります。
2023年12月に、特定空き家になる可能性がある「管理不全空き家」も、勧告の段階で固定資産税が増税されるように法改正が行われました。このようなペナルティを避けるためにも、使用していない空き家は早めに売却することをおすすめします。
不動産は、登記上の所有者でなければ売却できません。そのため、空き家を売却するには「相続登記」が必要です。相続直後ではなくても、登記名義人が先代やさらに前の代になっていることは少なくありません。
2024年4月から、これまで任意だった相続登記が義務化されました。相続によって不動産を取得した人は、所有権の取得を知った日または遺産分割協議が成立した日から3年以内に相続登記を行わないと、10万円以下の過料が課されます。
空き家を売却する際の大きな課題の一つが、片付けです。不動産の売却では「空室渡し」が原則です。両親や自分たちが使っていた家具や家財が残っていると、内見時の印象が悪くなってしまいます。
「空室渡し」が原則ですが、空き家の買取業者など、残置物がある状態で買い取ってくれる買主もいます。しかし、残置物の撤去は買主にとって手間となるため、売主はその分、売値を減額しなければなりません。
減額幅は残置物の量や市場状況によりますが、多くの場合、「残置物の撤去費用+α」を減額しなければ売れません。そのため、自身で残置物を撤去してから売却したほうが得策です。
空き家の解体とともに残置物を処分してもらう場合も同様です。解体業者は、残置物を「事業系一般廃棄物」や「産業廃棄物」として処分しなければなりません。個人が自身のものを処分する以上の手間と費用がかかるため、解体とともに残置物の撤去を依頼する場合は、自分で処分する費用以上の金額が上乗せされます。
2024年4月以前に相続した方も、2027年4月までに相続登記を行う義務があります。売却や活用を考えていない方も、登記上の名義人が自分になっているか一度確認してみましょう。
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空き家を売却するためには、「相続登記」と「空き家の片付け」が必要です。登記については、司法書士に依頼することで比較的迅速に手続きできますが、空き家の片付けには時間がかかることもあります。
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