アパートメントでも一戸建てと同じく、ゴミ屋敷になる危険性があります。
特にマンションでは、ゴミを適切な場所まで持っていくのが一戸建てよりも複雑な場合があり、それが問題を引き起こすことが考えられます。
この記事では、マンション内のゴミ屋敷が引き起こす隣人間の問題や、それを予防する方法を詳しく解説します。
ゴミ屋敷化した自分のマンションに困っている方や、マンション内の別の住居がゴミ屋敷状態になって心配している方も、この情報が役立つかと思いますので、最後までお読みください。
マンションのゴミ屋敷状態は、近隣トラブルの火種となります。
アパートメントでは、壁一枚隔てて他の住人がいます。そのため、音の問題はもちろん、さまざまな近隣の問題や不満が生じやすい環境です。
マンション内でのゴミ屋敷の存在も、これらのトラブルや不満の一因となります。どのような問題が浮上し、どのような経緯で近隣トラブルへとつながるのか、詳しく検討していきましょう。
隣人との間で不満やクレームが生じる
マンション生活では、隣人との距離が非常に近い。間仕切りは壁だけで、この近さが隣の住人への影響を増幅させます。
ゴミの臭いが隣の部屋や共有スペースに広がったり、ゴミ屋敷による害虫が他の住居に進入することも考えられます。
特に強烈な臭いが原因で、窓を開けることやベランダでの洗濯が難しくなることも。場合によっては、ゴミが隣のベランダや共用スペースに飛散することも考えられます。
一軒家の場合、これほどの影響は考えにくいですが、マンションの狭さと近さが、このような問題を引き起こします。
不満が積み重なり、直接扉をノックして苦情を言う場面や、共有スペースでの出会い時に言及されることも。そして、外部の機関や管理組合に介入せず、個別に対応しようとすると、更なるトラブルへのリスクも高まります。
隣の住居にゴキブリなどの害虫が出没する
前述した通り、ゴミ屋敷に関連する害虫問題は、マンションでの生活において非常に大きな懸念となります。
ゴミ屋敷は、ゴキブリをはじめとした害虫の繁殖地となり易いです。そして、これらの害虫はゴミ屋敷から隣接する住居に進出する可能性があります。
しっかりと扉を閉めていても、微細な隙間や、共有の換気扇や排水路などを通じてゴキブリが移動することが考えられます。
さらに、ゴミ屋敷の清掃時には、隠れていた害虫が一斉に移動するリスクがあり、これが隣の住人に大きな迷惑となることが想定されます。ゴミ屋敷を清掃する前に、害虫対策を施すことが求められます。
しかし、ゴミの中に潜む害虫を完全に取り除くのは難しいです。このような場合、燻煙剤を使用して、害虫を一括で駆除することが効果的です。
隣人からの報告で大家や管理組合に注意される
マンションでの直接的な苦情やクレームは、対立や摩擦の元になりやすいことが、多くの隣人には認識されています。
そのため、直接の対話よりも、問題の住人に代わり、大家や管理組合に事態を通報するケースが一般的です。
このような状況となると、マンションの共有スペースに注意書きが掲示されたり、住民全体に向けたお知らせの手紙が配られることも考えられます。
改善が見られない場合、大家や管理組合から直接指導が入り、最も厳しい場合、退去を求められることも考えられます。
隣の住人や大家、管理組合が感じるマンション内のゴミ屋敷の危険性
ゴミ屋敷に関する話を住人の視点から説明してきましたが、他のマンションの住人や大家、管理組合の側からすると、どのような懸念や危険性が考えられるでしょうか。
隣の住人や管理関係者の視点からすれば、一戸建ての住宅とは違う、マンション独特の問題やリスクに直面することが考えられます。
ゴミ屋敷の住人の方は、「自分の行動が他者にどのような影響を及ぼすのか」「隣人や管理側からどう見られているのか」という視点で、この部分を読むと新たな認識を得られるかもしれません。
マンションの全体的な価格が低下する
マンション内にゴミ屋敷が存在すると、悪臭や害虫の問題で住民が退去する可能性が高まります。さらに、ゴミ屋敷の噂がインターネットなどで拡散されると、新しい入居者が来ることも難しくなるかもしれません。
その結果、家賃を減少させる動きが出ることが予想され、マンションとしての市場価値が低下します。
マンションの管理形態は様々です。一部は個人の所有、一部は管理会社が一括して借り受ける形、または個人オーナーが所有し、管理のみを会社に委託する形が考えられます。
もし個人がマンションを所有している場合、ゴミ屋敷への対策は自分の判断で進められますが、所有者と管理会社が異なる場合、問題解決のための手続きが複雑になることも。
一度ゴミ屋敷の状態になると、完全に元通りにするのは困難です。ゴミを片付けた後でも、部屋のあちこちに汚れが残ることが多く、一度増殖した害虫が完全に駆除される保証はありません。そして、一度低下したマンションの評価を取り戻すのは難しいです。
そのため、マンションの部屋がゴミ屋敷状態になる前や、問題が深刻化する前に対策を考え、実行することが重要です。
マンションの取り決めが煩雑
マンションにおいては、苦情が入った際、大家や管理会社がオーナーとのやり取りを行い、その結果を元に実際の対応を進めることになります。
このような多段階の手続きが必要となるため、「ゴミ屋敷を対処したい」と感じたとしても、迅速な行動が取りづらくなります。実際にゴミ屋敷の整理業者を手配するまでにも時間がかかりがちです。
住人を退去させるのは難しいプロセスがある
「ゴミ屋敷の問題が解決しないなら、住人を退去させれば良い」と思われる方も少なくないでしょう。
しかしながら、住人を簡単に退去させることは難しいのです。
ゴミ屋敷の住人に退去を求めるためには、「賃貸借契約の解除通知」を行う必要があります。この「賃貸借契約の解除通知」を行う際には、
以下の2つの要件を満たさなければなりません。
- 要件①妥当な理由
- 要件②信頼の損失
要するに、ゴミ屋敷が長く放置され、今後の改善の見込みが薄い場合に限り、住人に退去を要請することが許されます。
ゴミ屋敷になる前にマンションで行うべき4つの予防策
ゴミ屋敷化するとマンションに多くの問題が生じる可能性があります。
だからこそ、問題が大きくなる前に早めの対策が求められます。
ここで、マンションでのゴミ屋敷化を予防するために注意すべき4つのポイントをお伝えします。
マンションのゴミ捨てルールを理解して守る
各マンションにはゴミの捨て方に関する独自の取り決めがあることが多いです。もちろん、地域の自治体の指示に従うのは基本ですが、マンションごとに特有のルールが存在する場合もあります。
そのため、最初にマンション固有のゴミ捨てのルールをしっかりと確認・理解することが大切です。
ゴミの捨て方が不明瞭で、家に保管し続ける行為がゴミ屋敷化へと繋がります。ルールを理解し、適切にゴミを捨てる習慣を持つことで、そのようなリスクを低減させることができます。
不確かな点は大家や管理会社に尋ねる
疑問や不安がある際は、マンションの大家や管理会社に質問することが推奨されます。大家や管理会社としても、トラブルが起きる前に質問を受けることは、後の問題を避けるために好ましいと感じています。
たとえ小さなことでも、自分で判断せずに確認することが大切です。
マンションは「共同の空間」だと意識する
マンションは多くの住人が同じ建物内で暮らす共有の場所です。個々の部屋は独立していますが、根底には共同の生活スタイルがあります。
他の住民と直接のやりとりがない場面でも、隣の部屋からの音が漏れてきたり、共有エリアで顔を合わせることが日常的にあります。ゴミ屋敷になってしまうと、悪臭や虫などの問題で、他の住人にも影響を与えてしまいます。
「他の部屋とは関わりがない」というスタンスは適切ではありません。実際には、自分の行動がマンション内の他の住人にも影響を与えうることを理解することが、トラブルを未然に防ぐ鍵となります。
困った時は専門の業者に相談する
常日頃からの掃除や整理整頓はマンションの清潔さを保つために重要ですが、どうしても手に負えなくなってしまった場合もあるでしょう。
そのような状況の際は、ゴミ屋敷専門の片付け業者に連絡するのが良い選択です。
必ずしも自分だけでゴミを片付けなくてはいけないわけではありません。サポートが必要な時は、プロの力を利用することも考えましょう。
ゴミ屋敷の状態で、知人や親族にお願いするのは気が引けるかもしれません。しかし、専門業者ならば迅速かつコッソリと片付けてくれるはずです。
マンションをゴミ屋敷専門の業者に掃除を頼む時の注意点
マンションのゴミ屋敷の清掃には専門知識や経験が必要であり、そのため専門業者の力を借りるのが効果的です。とはいえ、業者を選ぶ際や依頼する際には注意が必要です。
以下、業者に依頼する時の2つの重要なポイントを挙げます。
業者への正確な情報提供が必要
ゴミ屋敷清掃の専門業者に見積もりを依頼する際、自宅の状態をきちんと伝えることが重要です。
見積もりの際に、実際よりもゴミの状況を控えめに伝えることは避けましょう。ゴミ屋敷の専門業者は数多くの案件を手がけているため、あなたの状況を過度に否定的に捉えることはありません。
業者に依頼する以上、信頼関係を築くためにも、状況を正直に伝えることが大事です。
マンションの管理者に業者の作業を事前に通知する
ゴミ屋敷の清掃のために業者を呼ぶ場合、その旨を事前にマンションの管理会社や管理人に知らせることが重要です。
作業日当日に必要となる駐車スペースの手配や、オートロックの仕組みがある場合の一時的な解除、また近隣の住人への情報提供などが必要です。
このような連絡は、業者ではなく住人が責任を持って行うべきです。作業がスムーズに進行するためにも、前もって連絡しておくことをおすすめします。
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まとめ
マンションがゴミ屋敷となると、周囲の住民に迷惑をかけることはもちろん、それが原因でのトラブルが生じるリスクも高まります。
さらに、マンションの性質上、管理会社や管理人を通さなければ対処が困難となるため、速やかな対応が求められます。
最初からマンションのゴミ屋敷化を防ぐことが最も理想的ですが、すでにその状態になってしまった場合は、ゴミ屋敷の専門業者への相談を考えることをおすすめします。