ゴミ屋敷や散らかった部屋では、物やゴミが積もることで不快な臭いが発生します。さまざまな元となる臭いが混在し、その臭いは時間と共に増幅します。ここで、ゴミ屋敷や乱雑な部屋からくる悪臭の根本原因と、それを改善する方法をお伝えします。
ゴミ屋敷や乱雑な部屋での臭いの根本は何か?
ゴミ屋敷や散らかった部屋の臭い、それはどこからくるのでしょうか。
細菌と微生物の増加
生ゴミは、放置すると強く臭うようになります。 この臭いの主な原因は、生ゴミを餌にして増える細菌や微生物の臭いです。 水分の多い生ゴミはこれらの微生物の増殖を助け、その結果強烈な臭いが生まれます。
さらに、これらの微生物は暖かい環境を好みます。したがって、春や夏の暖かい時期や、密封性が高いアパートやマンションでは、これらの微生物が増えやすく、臭いも拡散しやすくなります。
腐った臭い
生ゴミや食べ残しの腐敗が引き起こす臭いは、ゴミ屋敷の典型的な臭いの一つです。 未調理の魚や肉、果物や野菜のくず、そしてファーストフードの残りやカップ麺の残汁など、これらが放置されると次第に腐敗し、不快な臭いを放つようになります。
これらのものをそのままにしておくと、腐敗が加速し、家中にその臭いが充満します。 最悪の場合、たまったゴミの下部が完全に腐敗して液状化し、床に流れて臭いがさらに拡散することも考えられます。
細菌とカビの増殖
生ゴミに繁殖する細菌とは異なり、放置された布や部屋干しの洗濯物から来る特有の臭いがあります。 水分を持った布などが長時間放置されると、そこで細菌やカビが増える場となります。
次のような湿った布を放置することで、不快な臭いが発生します。
- クローゼット内の放置された衣服
- 使用後の雑巾
- きちんと乾燥されていないキッチンタオル
- 乾燥していない洗濯物
湿度が高い状態での布は、カビの増殖場所として適しています。
カビは、適切な温度、湿度、栄養源が揃うと急速に増加し、その臭いを拡散させます。 換気が不足しているゴミ屋敷は、カビにとって理想的な環境となりえます。 さらに、カビが生成するマイコトキシンは発がん性を持つので、特に注意が必要です。
排水口の臭い
下水やドブのような嫌な臭いの元は、排水トラップやゴミ受け、排水パイプ内の残った汚れやぬめりによるものです。
湿度が高いと臭くなると考えがちですが、必ずしもそうではない。 通常、排水トラップには「封水」という水が貯められています。 この水の役目は、下水の不快な臭いや害虫の侵入をブロックすることです。
だが、水場所を一定期間使わないと、この封水は蒸発し、その結果として臭いが室内に広がることがあります。 ゴミ屋敷の中では、キッチンシンクやバスルーム、洗面所までゴミで埋まっている場合があります。 その結果、水が流れなくなり、臭いの発生源となる場合があるのです。
加えて、排水口のゴミ受けに食べ物の残りや髪の毛、石鹸の残りなどがたまると、それらのゴミの臭いと排水口の臭いが混ざって、より強い臭いが発生します。
害虫・害獣の残渣
モノやゴミに囲まれたゴミ屋敷は、ゴキブリやハエのような害虫や、ネズミのような害獣にとっての食料天国です。 これらの生物が残す排泄物は、ゴミ屋敷の臭いの一因となっています。
特に、ネズミの尿は、その臭いだけでなく、レプトスピラという感染症の原因となる菌も含まれています。 この菌は、人や動物に感染する可能性があります。 人が感染すると、頭痛、発熱、悪寒、筋肉痛、嘔吐、下痢、腹痛、皮膚の発疹などの症状が出現することがあります。 さらに進行すると、皮膚が黄色くなる黄疸や、多くの臓器の機能障害が生じるリスクがあります。 犬が感染した場合、肝臓や腎臓への深刻なダメージが生じ、最悪の場合、命を失う恐れもある危険な疾患です。
ペットの存在
多くのゴミ屋敷の住人はペットを飼っていることがあります。 ペットの排泄物を適切に取り扱わずに残しておくと、強い悪臭が生じます。 さらに、ペットは特有の体の臭いを持っており、定期的なシャンプーやブラッシングを怠ると、その臭いが室内の壁や床に定着してしまうことがあります。
ゴミ屋敷の臭いを撃退する方法は?
ゴミ屋敷の不快な臭いの背後には多くの要因が存在します。しかし、この臭いを排除するためにはどのようなアクションが必要でしょうか。
ゴミの整理・処分
まず、家の中のゴミをしっかりと整理し、排除することが重要です。ゴミがそのままになっていれば、その臭いは日に日に強くなっていきます。部屋の隅や廊下、特に臭いが強いとされる生ゴミや期限切れの食品、水回りのゴミや食品残り、長期間洗っていない寝具や変色・カビが付着した衣服など、全てをしっかりと取り除きましょう。
ゴミの量が膨大な場合、専門の廃棄業者に依頼して処分することを検討しましょう。
掃除を進める
ゴミの排除が完了した後には、実際の掃除が待っています。長い間放置されたゴミから流れ出る液体や粘り気のある汚れが、床や壁にこびりついている可能性が高いため、これをしっかりと取り除くことが求められます。
まず、バケツに清潔な水を入れ、中性の洗剤を少々加えて混ぜ合わせます。この水を使用して、雑巾を湿らせてから絞り、床や壁の汚れを拭き取ります。きれいになったら、再度清水で雑巾を洗い、残った洗剤を取り除いてから拭き取ります。掃除中は、部屋の換気を良くするために窓を開放しておくと、より効果的です。
水回りの清掃を行う
排水口からの悪臭がする場合、内部が乾燥しているか、詰まりが原因の可能性があります。そこで、まずは5分程度、水を流して乾燥を防ぐ手始めとします。さらに、排水の詰まりを解消するための洗浄剤の使用もおすすめです。
排水口のゴミ受け部分のゴミを除去し、しっかりと清潔に洗います。ぬめり感が気になるときは、漂白剤を使って浸け置き洗いを行うとよりキレイになります。
害虫・害獣対策とその後の清掃
害虫や害獣の侵入が確認された場合、害虫駆除剤や害獣を避けるためのスプレーを使用して、これらの生物の数を減少させることが重要です。 害虫や害獣の糞尿や遺体は、他の仲間を引き寄せる合図となるため、これらのものを放置することは避けるべきです。
害虫や害獣の排泄物の取り扱いには十分な注意が必要です。取り扱い時には手袋とマスクの装着をお忘れなく。拭き取る際には雑巾よりも、使い捨ての清掃シートを使用してください。そして、使用済みの清掃シートは封をしてゴミに出します。その後、対象部分をアルコールで消毒することも忘れずに。
また、掃除機を使って排泄物を吸い取ると、微細な糞の粒子やその中の細菌が室内に拡散するリスクがあるので、掃除機の使用は避けるよう心掛けてください。
カビの除去方法
様々な箇所でのカビ対策について説明します。
水まわりの対策
まず、カビのついた箇所を洗って汚れを取り除きます。 カビの部分に中性洗剤を少量つけたスポンジで擦り、その後すすぎます。 さらに、カビ除去剤や漂白剤を使用し、指定の時間放置後、しっかりと水で洗い流します。 カビ除去剤を利用するときは、保護具としてゴム手袋やマスクを使用し、作業中は十分に換気を心がけてください。
クローゼットの掃除
クローゼットの中身を一旦取り出します。 カビのついた箇所には消毒アルコールをスプレーし、拭き取った後、ドアを開けて良く乾かします。
衣類への対応
広い洗面器やバケツに、約50℃のお湯を用意します。 カビがついた部分に漂白剤を塗り、その後お湯に浸けます。 約2時間放置した後、衣類を洗濯ネットに入れて洗います。 乾かす際には、直射日光下での乾燥が推奨されます。 色移りの懸念がある場合は、専門のクリーニング店でカビの除去を頼むのも一つの方法です。
臭いがついた寝具や服は廃棄する
臭いが染み込んだ寝具や衣服は、迷わず廃棄することを考慮しましょう。 一度臭いがついてしまったものは、洗濯しても臭いが完全には消えないことが多いです。 寝具の場合、新品の清潔なものに交換することを推奨します。
雑菌が増殖した布類を廃棄する
長く使っていた雑巾や、キッチンに放置されていた布巾、洗った後乾燥させずに放置した衣服などは、雑菌が増殖して臭いの原因になります。これらは思い切って廃棄しましょう。
ペット関連の清掃
ペットが残した排泄物がある場合、それをきちんと取り除きましょう。清掃用のシートでしっかりと排泄物を拭き取り、その後ビニール袋に入れてしっかりと口を閉じます。
ペットのトイレスペースやケージ、収容ボックスなどもしっかりと水で洗浄します。掃除の後は、ペット用のシャンプーや消臭スプレーを使用したり、トイレのシートや砂を消臭機能付きのものに交換すると更に効果的です。
まとめ
ゴミ屋敷の臭いは、ゴミの腐敗、雑菌やカビの増加、害虫や害獣、ペットの匂いといった多様な要因が絡み合って生じています。 臭いを除去するためには、ゴミの処分と徹底的な掃除が必須です。 自分だけでは取り除けない根深い臭いに関しては、特殊清掃の専門家や遺品の整理を行う業者などのプロに依頼するのが良いでしょう。