「空き家対策特別措置法(空き家法)」の改正が2023年内に予定されており、空き家の所有者に対して適切な管理を促すことがその一つの目的です。この改正により、固定資産税の増税対象となる空き家の数が増加すると予想されます。空き家の適正管理を行い、固定資産税の増税を避けるためには、「遺品整理」が必須となります。
この記事では、改正される空き家法の概要と、これに伴い重要性を増す遺品整理について詳しく解説します。
空き家対策特別措置法(通称:空き家法)とは何か?
空き家対策特別措置法、通称「空き家法」とは、2015年に施行された法律で、空き家の所有者に対して、その空き家を適切に管理するか、必要に応じて撤去することを義務付けています。この法律により、適切な管理が行われていない空き家は「特定空き家」として指定され、所有者には特定のペナルティが科されることになります。
空き家法での「特定空き家」の定義
空き家法では、「特定空き家」とは次のような状態の空き家を指します
出典:国土交通省
- 放置された場合、倒壊など安全上の著しい危険が生じる恐れがある状態。
- 放置すると衛生上著しく有害となる可能性がある状態。
- 適切な管理がなされておらず、景観を大きく損ねている状態。
- 周辺の生活環境を保全するために放置することが不適切であるその他の状態。
空き家法におけるペナルティ
ペナルティ① 立ち入り調査への協力拒否に対する過料
空き家法では、特定空き家に自治体が立ち入り調査を行うことが許可されています。所有者は調査時に要求されれば身分証明書を提示する必要があり、この調査を拒否する場合、最大20万円の過料が科されることになります。
ペナルティ② 管理不足で特例の適用除外
立ち入り調査後、管理の不備が見られる場合、指導や助言、そして勧告や命令に至る一連の措置が取られます。特に、勧告に至った場合、空き家のある土地に対する「住宅用地の特例」の適用が取り消されます。
住宅用地の特例は固定資産税を軽減する重要な制度です。この特例が適用されなくなると、固定資産税は大幅に増加します。
住宅用地の区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
小規模住宅用地 (200㎡以下の部分) | 1/6 | 1/3 |
一般住宅用地 (200㎡を超える部分) | 1/3 | 2/3 |
ペナルティ③ 命令違反に対する過料
勧告の次の段階として「命令」が出され、空き家の管理強化がより強く求められます。命令に違反すると、最高50万円までの過料が課されることになります。
ペナルティ④ 代執行による撤去
自治体からの繰り返しの指示に従わず、改善の見込みがないと判断された場合、空き家は「代執行」によって撤去されることになります。解体や撤去にかかった費用は、後に所有者への請求となります。
空き家法の改正による変化
特定空き家に対して過料、固定資産税優遇措置の撤廃、代執行といったペナルティを定める空き家法ですが、その施行後も空き家の数は増加し続けています。令和元年までの統計では、勧告が1,351戸、代執行が260戸にとどまり、2018年の調査では空き家が849万戸に達し、法の効果は限定的であることが明らかになりました。
これを受けて、2023年6月に空き家法の改正が決定しました。この改正法は2023年内の施行を予定しています。
改正空き家法による「管理不全空き家」への特例適用除外
改正された空き家法では、「特定空き家」の防止を目的として、固定資産税の住宅用地特例の適用除外対象を「管理不全空き家」に広げます。管理不全空き家の具体的な基準はまだ明らかにされていませんが、現在は「特定空き家になりうる空き家」とされています。
この特例の適用除外は、自治体の指導を無視し勧告に至った段階で適用されます。全国で特定空き家は約2万戸とされていますが、管理不全空き家は約24万戸と推計されています。
空き家法の改正に伴う遺品整理の増加した重要性
空き家法の改正により、空き家所有者への圧力は一層強まるでしょう。2024年から始まる相続登記の義務化により、空き家の所有者が明確になりやすくなります。
ただし、「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されなければ、固定資産税の増税などのリスクは避けられます。今後、空き家の適切な管理がより重要になり、それに伴い「遺品整理」の重要性も高まると考えられます。
遺品整理による管理の容易化
人が住まなくなった空き家は、湿気やホコリが蓄積しやすく、急速に劣化することがあります。これを防ぐためには定期的な掃除が必要ですが、家財が多いと掃除が困難になります。
自然災害リスクの軽減
自然災害の多発・激甚化に伴い、空き家所有者は地震や台風、火災への対策も必要です。家財が残された状態では、災害時のリスクが高まります。
売却・解体・活用に向けた遺品整理
固定資産税の増加を懸念して空き家の売却や解体、再活用を考える場合も、遺品整理は避けて通れません。家財が残った状態では、解体費用が高くなることがあり、また、大切な思い出の品は分別しておくべきです。
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まとめ
2023年中に改正される空き家法により、固定資産税の増税リスクが「管理不全空き家」にも適用されるようになります。このため、空き家を「特定空き家」や「管理不全空き家」として指定されないためには、その適正な管理が重要となります。遺品整理を行うことで、空き家の維持管理が容易になり、自然災害へのリスクも減少します。
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