空き家問題は年々深刻化しており、空き家所有者への風当たりも徐々に強まっています。福岡でも少なくない空き家が存在しています。空き家を所有しているだけでも費用や手間がかかるため、「売りたい」と考える方も多いでしょう。しかし、すぐに空き家を売却できるわけではありません。
そこで、本記事では空き家問題の現状と、空き家を売却するために必要な工程について解説します。
空き家法改正で空き家を所有し続けるリスクが増大
近年、全国的に空き家問題が深刻化しており、福岡をはじめとする地方都市でも空き家の放置が地域の安全・衛生・景観に悪影響を及ぼす事例が増えています。こうした背景を受け、2023年12月に「空き家対策特別措置法(空き家法)」が改正され、空き家の管理責任がさらに重くなりました。
空き家にもかかる維持コスト
空き家といえども、所有している限りは固定資産税・都市計画税が課税され続けます。加えて、マンションなどの場合には管理費や修繕積立金も発生し、居住していなくても年間数十万円規模のコストがかかるケースもあります。
また、築年数が経った空き家では、定期的な換気や点検を怠ると雨漏りやシロアリ被害が発生する可能性もあり、その修繕にも大きな費用が発生します。実際に誰も使っていない空き家の維持には、目に見えない負担が積み重なっていきます。
空き家法改正で「管理不全空き家」も税負担増へ
2023年12月の法改正によって、従来は「特定空き家」に指定された物件のみが対象だった行政指導や固定資産税の増税措置が、今後はその予備段階である「管理不全空き家」にも及ぶようになりました。
「特定空き家」とは?
以下のような状態にあると判断された空き家は、「特定空き家」として指定される可能性があります:
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倒壊や外壁の崩落など、保安上の危険がある
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害虫や悪臭などで衛生上の問題がある
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草木の繁茂や外観の劣化により、著しく景観を損ねている
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地域の生活環境に悪影響を与えていると判断される
このような特定空き家は、助言・指導に加えて「勧告」や「命令」といった法的手段の対象となり、行政による強制的な措置がとられることもあります。
固定資産税が最大6倍に増額されるケースも
特定空き家と判断され、「勧告」が出された場合、その空き家が建っている土地に適用されていた「住宅用地特例(固定資産税の軽減措置)」が解除されます。これにより、通常の住宅用地に比べて最大で6倍もの固定資産税が課されることになり、空き家を維持するコストが一気に跳ね上がります。
さらに今回の法改正によって、「管理不全空き家」に対しても、同様の軽減措置の解除が可能となり、より広い範囲の空き家が税負担のリスクに晒されることとなりました。
リスクを回避するには早めの対応が重要
このように、空き家を放置し続けることは、経済的にも法的にも大きなリスクを抱えることになります。加えて、空き家が放置される期間が長くなるほど、建物の劣化や価値の低下が進行し、売却も難しくなります。
不要になった空き家については、
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早期の売却や賃貸への活用
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専門業者による定期的な管理
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リフォームや解体を検討した上での再利用
といった対応を早めに検討することが推奨されます。放置せず、資産としての価値を維持・向上させるためにも、空き家問題には早い段階での判断と行動が求められます。
空き家売却に必要なこと【その1 – 相続登記】
空き家を売却するためには、まず「登記名義」が現在の所有者と一致している必要があります。どれほど立地が良く、建物の状態が整っていたとしても、登記情報が正確でなければ、不動産取引は成立しません。
特に空き家の場合、登記名義がすでに亡くなった親や祖父母の名義のまま放置されているケースが多く見受けられます。そのため、まず行うべきは「相続登記」です。
相続登記とは何か?
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合に、その不動産の名義を相続人へ変更するための登記手続きです。これは、不動産の売却・活用・担保設定など、すべての不動産取引の出発点となる重要な手続きです。
空き家を売却するには、まず登記上の名義人を実際の相続人へ変更しなければなりません。これが完了しない限り、買主との売買契約を締結しても、法的に所有権の移転ができないため、取引は成立しません。
2024年4月から相続登記が義務化
これまで相続登記は義務ではなく、費用や手間を理由に後回しにされることが少なくありませんでした。しかし、所有者不明の土地が全国的に社会問題となっていることを受け、2024年4月から相続登記が義務化されました。
義務化の概要
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対象者:不動産を相続した人すべて
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期限:不動産の相続を知った日、または遺産分割協議が成立した日から 3年以内
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違反時のペナルティ:10万円以下の過料
つまり、相続した不動産をそのまま放置していると、今後は法的なペナルティを受ける可能性があるのです。
登記をしていない空き家が抱えるリスク
相続登記を行っていない空き家は、売却だけでなく、活用や解体といった行為にも制約がかかります。複数の相続人が存在する場合、遺産分割協議を経て誰が所有権を持つかを明確にしなければ、手続きが進まず、最悪の場合「共有不動産」として扱われ、処分や売却が非常に困難になります。
さらに、法改正により登記義務が発生しているにもかかわらず、手続きを怠った場合は、罰金の対象となるだけでなく、登記を怠っていた期間に空き家が老朽化してしまうことで資産価値が下がる可能性もあります。
空き家売却に必要なこと【その2 – 片付け】
空き家を売却する際、最も手間がかかる作業の一つが「片付け」です。所有者やご両親が長年暮らしていた家には、多くの家具や家電、思い出の品が残されていますが、不動産売却においては「空室渡し」が基本となるため、これらをすべて撤去する必要があります。
片付けが不十分なままでは、内見時の印象が悪くなり、売却の成約率が下がる恐れもあります。また、室内にモノが残っていることで建物の状態が見えにくくなり、買主に余計な不安を与えてしまうこともあります。
残置物がある状態で売ると損をする理由
「残置物付きでも売れるのでは?」と考える方も少なくありません。実際、不動産買取業者などは、残置物があっても買い取ってくれるケースがあります。しかし、その場合はほぼ確実に売却価格が減額されます。
減額の理由
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撤去にかかる人件費
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廃棄物処理費(分別・運搬・処分)
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業者がかかえるリスク・手間に対する補償
一般的には、**残置物の撤去に必要な費用+手間賃(α)**が価格から差し引かれます。残置物の量が多いほど、減額幅も大きくなり、数十万円単位で価格が下がることもあります。
自分で片付けをするメリットと注意点
売却前に自分で片付けを済ませることで、物件の価値を最大限に引き出すことが可能です。以下のようなメリットがあります。
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売却価格が高くなる可能性がある
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買主に好印象を与えやすくなる
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内見時の印象がクリアになるため、成約スピードが上がる
ただし、家財が大量にある場合や、高齢の親が遺した家などでは、個人での片付けが困難なケースもあります。そういった場合は、不用品回収業者や遺品整理業者などの専門業者に依頼することで、スムーズに作業を進めることができます。
解体と同時の処分は割高になる可能性も
空き家の売却にあたり、「解体して更地にして売る」という選択をされる方もいますが、解体と一緒に残置物の処分を依頼する場合は要注意です。
解体業者が処分する残置物は、法律上「産業廃棄物」または「事業系一般廃棄物」として扱われるため、個人で処分するよりも高いコストがかかります。産廃処分には厳しい規制があるため、処分方法や搬出手順も厳格に管理されており、その分の費用が上乗せされます。
可能であれば、解体前にできる限り自分で処分しておくことが、コストを抑える大きなポイントになります。
相続登記の義務化も片付けと並行して確認を
なお、片付けと並行して注意しておきたいのが「相続登記」の状況です。2024年4月から相続登記は義務化されており、過去の相続でも2027年4月までに登記を済ませる必要があります。
現在空き家を所有している方は、登記名義が自分になっているかどうかを必ず確認しましょう。登記が済んでいなければ、売却手続きを開始することができません。
福岡市の信頼できる空き家片付け業者

福岡市で空き家の片付けを検討されているなら、福岡片付け隊にお任せください。福岡片付け隊で不用品を処理する際のメリットは以下の通りです。
許可業者で安心
片付け隊福岡店は、古物商の許可業者ですので、安心してサービスを利用できます。
福岡片付け隊の買取
福岡片付け隊では、お客様の不用品の買取も行っています。当社は必要な古物商許可を取得しており、経験豊富なスタッフが適正価格で買取を行いますので、安心してご相談ください。
ハウスクリーニングサービス
また、遺品整理後のハウスクリーニングサービスも提供しています。遺品整理後にクリーニングをすることで、物件の管理が容易になり、不動産売却や賃貸の際には価格や賃料の向上が期待できます。遺品整理から不用品買取、ハウスクリーニングまで、一連のサービスをワンストップで提供しており、お客様の手間を軽減できます。
多様な大型ゴミの処分に対応
福岡片付け隊では、大型の家具から家電4品目(冷蔵庫、テレビ、洗濯機、エアコン)まで、様々な大型ゴミの収集・処分に対応しています。一点から家丸ごとの処分まで、幅広い要望に応えます。
不用品回収、引っ越し時の大型ゴミ回収、空き家の清掃をお考えの方々へ。困った時は福岡市の許可業者、片付け隊にご相談ください! 不用品回収の参考料金(税込)は、軽トラック1台分が8,000円~、2tトラックが20,000円~です(2023年8月7日時点)。他の積載量については、弊社のウェブサイト「不用品回収の料金表」をご覧ください。
料金には運賃、処分費用、作業スタッフの人件費など、不用品回収に関わるほぼ全ての作業が含まれています。詳細な見積もりが必要な場合は、電話、LINE、お問い合わせフォームからお問い合わせください。
まとめ
空き家を売却するためには、「相続登記」と「空き家の片付け」が必要です。登記については、司法書士に依頼することで比較的迅速に手続きできますが、空き家の片付けには時間がかかることもあります。
福岡で空き家の残置物処理や遺品整理にお困りの方は、ぜひ福岡片付け隊をご利用ください。